作品ごとのより詳しい感想を並べたもの。絵本と自伝・エッセイ・評論等は省略した。記述の長短は作品の評価とは無関係。「表」よりさらに個人的な「感想」であって客観的な「評価」ではないことを了承して読んでいただきたい。感想を書く関係上、作品の内容・結末に触れていていわゆる「ネタばれ」になっているものもあるので、未読の方はご注意を。
読んだ年月日は〔 〕内に示したが、古い部分は明確ではない(〔1976以前〕が小学校時代、1986年以降は社会人になってから)。2000年以降の分はほぼ読了直後に書いているが、1999年以前の分は思い出して書いているので、よく覚えていなくてあまりコメントすべき点が思いつかないものもあるし、事実関係の覚え違いもあるかも。「表」部分と大差ない内容のものになってしまったものもある。逆にすごく好きなもの・おもしろかったものはかえって素っ気なく書いていることもあり。
出版社・出版年などの書誌事項は「表」を参照のこと。ただし、基本的に初版と同じ形態でないもので読んだものは叢書名等も入れるようにした。
好きな話は次の2作。
・「やまなし」
最初は教科書だったかも。青いセロファンを使った幻灯という感じで、言葉のリズムとともにイメージが美しくて好き。ハープか何かの演奏をバックに朗読するっていうのを見たような聞いたような覚えが…(よく覚えてないので聞きに行きたかったけど行けなかったのかも)。
・「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
とてもおもしろかった。上記の作品集で確実に読んだと言えるもの。でもあまり知られていない作品かも。「グスコーブドリの伝記」の原型となったものだと思う。実際前半はよく似ているが、「グスコーブドリ~」と決定的に違うのはこの話は「ばけもの」の世界の話(!)だということ。こんぶを取るのに木に上って網を投げたり(空中にいるフカやサメがあたってぐらぐらする)、「赤山の人だかり」だったり(ばけものたちの髪は赤い)、高い押し売りの物を買わないと「踊りをやるぜ」と言われて震え上がったり(「踊り」とは何かすごく怖いものらしい)、人間の世界に「出現」することが罪だったり(微妙なパラレルワールドになっているらしい)、興味深いことがいっぱいある。
あと印象深かった作品は以下のもの。
・「注文の多い料理店」
最初に読んだのは上記の本ではなく、多分平凡社の『絵本百科』3巻(1963)に載っていたものだったので多少ダイジェストしてあったかも。クリームを塗ったりいろいろなことをさせられるのが、かえっておもしろかったかな。
・「セロひきのゴーシュ」
これも最初は別のもので読んだと思うが、何で読んだかは忘れた。でも何だか辛気くさい気がしてあまり気に入らなかった気が。茂田井武の絵のもので読み直してみようかな。
・「よだかの星」
この作品も教科書か何かだったかな? これも辛気くさい話ではあるが、ラスト近くで飛ぶところは格好良かったような。
・「風の又三郎」
この話は私はリアリズムの話として読んだ。「ファンタジーの味わい」はあるとは思うが。冒頭の部分などやはり言葉のリズムがいい。
・「銀河鉄道の夜」
この作品はなぜか読むのを敬遠していてかなり後になって読んだものだが、結構おもしろかった。スケールの大きな作品で、イメージが美しい。ラストがちょっと気に入らない面がなくもないけれど。