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私的 児童文学作家事典〔海外編〕ア行
2018年7月15日 鈴木朝子
- アウル,ジーン Auel, Jean M.(1936~ )
- フィンランド系のアメリカの作家。シカゴ生まれ。18歳で結婚して五人の子の母親となったあと、28歳でエレクトロニクス会社に就職。40歳で退職して小説を書き始める。先史時代のクロマニヨン人の女性エイラの一代記<始源への旅立ち> (六部作予定)の第1作『大地の子エイラ』(1980)を処女作として出版、ベストセラーとなり映画化もされた。紀元前3万年頃の人類の生活が、調査・研究で得た莫大な知識と豊富な想像力によって、細かく描かれ興味深い。性や差別といった問題が盛り込まれているところは、先史時代を扱っていても「現代」の小説であることを感じさせる。2作目以降も順次刊行され、波瀾万丈(で少々ハーレクイン的)な大河ロマンスとしておもしろく読める。
- <エイラ―地上の旅人> ホーム社 /<始源への旅立ち> 評論社
- 『ケーブ・ベアの一族』上 大久保寛訳 2004 /1『大地の子エイラ』上・中・下 中村妙子訳 1983
- 『ケーブ・ベアの一族』下 大久保寛訳 2004
- 『野生馬の谷』上 佐々田雅子訳 2004 /2『恋をするエイラ』上・中・下 中村妙子訳 1985
- 『野生馬の谷』下 佐々田雅子訳 2004
- 『マンモス・ハンター』上 白石朗訳 2005 /3『狩をするエイラ』上・中・下 中村妙子訳 1987
- 『マンモス・ハンター』中 白石朗訳 2005
- 『マンモス・ハンター』下 白石朗訳 2005
- 『平原の旅』上 金原瑞人,小林みき訳 2005 /4『大陸をかけるエイラ』上・中・下 百々佑利子訳 1993~1994
- 『平原の旅』中 金原瑞人,小林みき訳 2005
- 『平原の旅』下 金原瑞人,小林みき訳 2005
- 『故郷の岩屋』上 白石朗訳 2005
- 『故郷の岩屋』中 白石朗訳 2006
- 『故郷の岩屋』下 白石朗訳 2006
- 『聖なる洞窟の地』上 白石朗訳 2013
- 『聖なる洞窟の地』中 白石朗訳 2013
- 『聖なる洞窟の地』下 白石朗訳 2013
- アスビョルンセン,ペテル・クリステン Asbjørnsen, Peter Christen(1812~1885)
- ノルウェーの民話研究家・動物学者。クリスチャニア(現在のオスロ)生まれ。フィヨルドで自然科学の学術調査に携わる。1830年代から、学生時代からの友人ヨルゲン・モオとともに民話の収集を始め、ノルウェー初の民話集『ノルウェー民話集』(1842)を刊行。その後もモオとの共編や独力でいくつかの民話・伝説集を発表。日本版の『太陽の東 月の西』はそれらの中から18編を選んで訳したもの。構成もすぐれ、言語的にも長くデンマークの支配下にあったノルウェーに自国の文化を再認識させる役割を果たしたと言われる。グリムなどでなじみの話が少し違う形になっているのも興味深い。
- 『太陽の東 月の西』(モオとの共編) 佐藤俊彦訳 岩波少年文庫 1958
- アダムズ(アダムス),リチャード Adams, Richard(1920~2016)
- イギリスの作家。バークシャー州生まれ。オックスフォード大学で歴史を学び、第二次大戦で従軍後、環境庁の公務員となる。52歳のときの処女作『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』(1972)はうさぎたちが新天地を求める冒険物語で、ベストセラーとなりカーネギー賞・ガーディアン賞を受賞し、のちアニメーション映画化もされた。政治的指導者や社会集団の問題、キリスト教精神、自然への愛情などが寓意的に描かれているとされるが、擬人的でないうさぎたちの習性や行動の部分がおもしろく、単なる教訓的な話ではなく動物ファンタジーとしてすぐれた作品となっている。1974年に退職して専業作家となる。他の作品に、神の化身とされた熊を描く『シャーディック』(1974)、動物生態研究所から逃げ出した実験用の犬たちを描く『疫病犬と呼ばれて』(1977)などのほか、自然観察図鑑の『四季の自然』『昼と夜の自然』などがある。
- 『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』上・下 神宮輝夫訳 評論社 1975
- 『シャーディック』上・下 神宮輝夫訳 評論社 1980・1982
- 『疫病犬と呼ばれて』上・下 中村妙子訳 評論社 1979
- 『ブランコの少女』上・下 百々佑利子訳 評論社 1989
- 『コルサンの岩山』 井辻朱美訳 新書館 1982
- 『鉄のオオカミ』 井辻朱美訳 新書館 1982
- 『とらくんうみをわたる』(絵本) ゆらきみよし訳 ほるぷ出版 1978 ニコラ・ベーリー絵
- 『女王陛下の船乗り猫』(絵本) 田中未知訳 角川書店 1986 アラン・オルドリッジ絵
- アドラー,キャロル・S. Adler, Carole S.(1932~ )
- アメリカの児童文学作家。ニューヨーク生まれ。大学終了後結婚して、会社勤めをしながら子育てをするが、のち退職。短編を少しずつ雑誌に発表していたが、教師になり、大学に入り直して教育学の修士号を取得。40代で専業作家となる。両親の離婚に直面する少女を描く『銀の馬車』(1979)をはじめ、自分自身や家族についての悩みや死といった問題を乗り越えて少年少女が成長する物語を書き、多数の賞を受賞。現代の子どもたちの重い現実を描くが、話のまとめ方はうまい。
- 『銀の馬車』 足沢良子訳 金の星社 1983
- 『おき去りにされた猫』 足沢良子訳 金の星社 1985
- 『ひとときのヒーロー』 久米穣訳 金の星社 1985
- 『さよならピンク・ピッグ』 足沢良子訳 金の星社 1987
- 『ぼくたちの宝島』 久米穣訳 金の星社 1991
- 『魔法の贈りもの』 久米穣訳 金の星社 1998
- 『パパとのぼった木』 岡本浜江訳 文研出版 1995
- アトリー,アリスン Uttley, Alison(1884~1976)
- イギリスの作家。本名アリス・ジェーン・アトリー。ダービーシャー州のクロムフィールドの農場で生まれる。マンチェスター大学で物理学を学び、卒業後結婚。1920年代から子ども向けの物語を雑誌などに発表し始め、1930年の夫の没後、ロンドンの女子校で理科の教師を務めながら執筆を続ける。『チム・ラビットのぼうけん』(1937)をはじめ、<サム・ピッグ><こぎつねルーファス><グレイ・ラビット>など、田園の小動物をユーモラスに生き生きと描いた幼年向けの物語を多数発表。また、唯一のジュニア小説と言える『時の旅人』(1939)は、古い農場を舞台に16世紀と現代を行き来する少女を描いた本格的なタイム・ファンタジーで、哀感のこもった美しく緻密な物語になっている。大人向けに田園生活の魅力をつづった作品もある。1970年マンチェスター大学から名誉文学博士号を授与された。
- 『時の旅人』 小野章訳 評論社 1980 / 松野正子訳 岩波少年文庫 1998
- <チムとサムの本> 童心社
- 『チム・ラビットのぼうけん』 石井桃子訳 1967
- 『チム・ラビットのおともだち』 石井桃子訳 1967
- 『サム・ピッグだいかつやく』 神宮輝夫訳 1967
- 『サム・ピッグおおそうどう』 神宮輝夫訳 1967
- 『アンと山の小びと』 鈴木武樹訳 学習研究社 1967
- 『小さな赤いめんどり』 神宮輝夫訳 大日本図書 1969
- 『妖精のスカーフ ほか』 神宮輝夫訳 講談社 1973 → 『妖精のスカーフ』講談社青い鳥文庫 1981
- 『こぎつねルーファスのぼうけん』 石井桃子訳 岩波書店 1979
- 『こぎつねルーファスとシンデレラ』 石井桃子訳 岩波書店 1981
- 『兄さんネズミがさらわれた!』 真方陽子訳 偕成社 1986
- 『子ネズミきょうだい町へいく』 真方陽子訳 偕成社 1987
- 『妖精のおよめさん』 三保みずえ訳 評論社 1987
- 『グレイ・ラビットのおはなし』 石井桃子,中川李枝子訳 岩波少年文庫 1995
- 『西風のくれた鍵』 石井桃子,中川李枝子訳 岩波少年文庫 1996
- 『氷の花たば』 石井桃子,中川李枝子訳 岩波少年文庫 1996
- 『農場にくらして』 上條由美子, 松野正子訳 岩波少年文庫 2000
- 『ラベンダーのくつ』 松野正子訳 福音館書店 1998
- 『くつなおしの店』 松野正子訳 福音館書店 2000
- 『クリスマスのりんご』 上條由美子訳 福音館書店 2012
- 『ちゃいろいつつみ紙のはなし』 松野正子訳 福音館書店 2015
- <おめでたこぶた> すがはらひろくに訳 福音館書店
- 『四ひきのこぶたとアナグマのお話』2012
- 『サム、風をつかまえる』2012
- 『サムのおしごと』2016
- 『月あかりのおはなし集』 こだまともこ訳 小学館 2007
- 『続・月あかりのおはなし集』 こだまともこ訳 小学館 2008
- <リトル・グレイラビット> 偕成社
- 『森の友だちとごちそうどろぼう』 みのうらまりこ訳 1987
- 『フクロウ博士のおひっこし』 まがたようこ訳 1987
- 『はじめてのパーティー』 みのうらまりこ訳 1987
- 『グレイラビットのクリスマス』 みのうらまりこ訳 1987
- 『ハリネズミぼうやは学校がすき』 みのうらまりこ訳 1988
- 『グレイラビットのたんじょうかい』 まがたようこ訳 1988
- 『めんどり母さんがあぶない!』 まがたようこ訳 1988
- 『ハリネズミさんのすてきなコート』 まがたようこ訳 1988
- <グレー・ラビット シリーズ>(絵本) 評論社 マーガレット・テンペスト絵
- 『グレー・ラビットスケートにゆく』 神宮輝夫,河野純三訳 1978
- 『グレー・ラビットパーティをひらく』 神宮輝夫,河野純三訳 1978
- 『ねずみのラットのやっかいなしっぽ』 神宮輝夫,河野純三訳 1979
- 『グレー・ラビットいたちにつかまる』 神宮輝夫,河野純三訳 1979
- 『グレー・ラビットのクリスマス』 河野純三訳 1982
- 『もぐらのモールディのおはなし』 河野純三訳 1982
- 『グレー・ラビットのおたんじょうび』 河野純三訳 1982
- 『グレー・ラビットと旅のはりねずみ』 河野純三訳 1981
- 『大うさぎのヘアーとイースターのたまご』 河野純三訳 1983
- 『グレー・ラビットのスケッチ・ブック』 河野純三訳 1982
- 『大うさぎのヘアーかいものにゆく』 河野純三訳 1981
- 『グレー・ラビットパンケーキをやく』 河野純三訳 1983
- <グレー・ラビットのおはなし> じんぐうてるお訳 童話館出版 マーガレット・テンペスト絵
- 『グレー・ラビットとヘアとスキレルスケートにいく』 2003
- 『ねずみのラットのやっかいなしっぽ』 2003
- 『ふくろう博士のあたらしい家』 2004
- 『絵本グレイ・ラビットのおはなし』(絵本) 石井桃子,中川李枝子訳 岩波書店 1995 マーガレット・テンペスト絵
- 『むぎばたけ』(絵本) 矢川澄子訳 福音館書店 1989 片山健絵
- 『クリスマスのちいさなおくりもの』(絵本) 上條由美子訳 福音館書店 2010 山内ふじ江絵
- アーノルド,エリオット Arnold, Elliott(1912~1980)
- アメリカのジャーナリスト・作家。ニューヨーク生まれ。17歳でブルックリン・タイムズの記者となり、のちワールド・テレグラム社に移籍。第二次大戦では空軍に従軍、青銅星章を得る。18世紀のアメリカで先住民に育てられた白人少年の生き方を描いた『白いタカ』(1955)は、アメリカ先住民の内部から見た歴史小説としてすぐれている。ほかにも多くの作品を書き、小説『血兄弟』は『折れた矢』の題で映画化され評判になった。
- アーモンド,デイヴィッド Almond, David(1954~ )
- イギリスの作家。イングランド北部のタイン川沿いの町に生まれる。教師など様々な職業につくかたわら小説、詩、芝居の台本などを執筆。1982年から専業作家となる。初めての長編となる子ども向けの作品『肩胛骨は翼のなごり』(1998)は、一人の少年がやや風変わりな少女とともに出会う不思議な「男」を巡る、決して「美しく」はないのに不思議な「美しさ」を感じられる微妙な味わいのファンタジーで、カーネギー賞とウィットブレッド賞を受賞。他の作品に『闇の底のシルキー』(1999)、『ヘヴンアイズ』(2000)などがある。2010年国際アンデルセン大賞を受賞。
- 『肩胛骨は翼のなごり』 山田順子訳 東京創元社 2000
- 『闇の底のシルキー』 山田順子訳 東京創元社 2001
- 『秘密の心臓』 山田順子訳 東京創元社 2004
- 『ミナの物語』 山田順子訳 東京創元社 2012
- 『ポケットのなかの天使』 山田順子訳 東京創元社 2018
- 『ヘヴンアイズ』 金原瑞人訳 河出書房新社 2003
- 『火を喰う者たち』 金原瑞人訳 河出書房新社 2005
- 『星を数えて』 金原瑞人訳 河出書房新社 2006
- 『クレイ』 金原瑞人訳 河出書房新社 2007
- 『パパはバードマン』 金原瑞人訳 フレーベル館 2011
- アラン,メイベル・エスター Allan, Mabel Esther(1915~1998)
- イギリスの児童文学作家。チェシャー州ウォラシー生まれ。白内障でのちに失明したが、30歳のとき手術で視力を回復。以後本名のほかにジーン・エストリル、プリシラ・ハーゴン、アン・ピルグリムの筆名を使いながら少女向けのミステリー、ロマンス、バレエ物語など多数の本を執筆。ジーン・エストリル名義では<ドリーナ バレエシリーズ>がある。1970年代からは社会性を持った問題を扱うようになり、『青い海の歌』(1972)では孤島の過疎を描いている。盲目を脱した少女の父親からの自立を描く自伝的な作品『緑の指の見えた日』(1977)では、強い意志を保つ主人公の姿が印象的である。趣味は旅行、バレエ鑑賞。
- アリグザンダー,ロイド Alexander, Lloyd(1924~2007)
- アメリカの作家。フィラデルフィア生まれ。子どもの頃から神話・伝説を愛読していたが、第二次大戦で大学を中退し、軍隊の下士官として訪れたウェールズの伝説に興味を抱く。結婚後、サルトルの翻訳や漫画家・編集助手などをしながら大人向けの本や子ども向けの本を執筆。ウェールズの伝説をもとにしたファンタジー <プリデイン物語>五部作(1964~1968)は、善と悪の戦いの中で自己を探究する少年を描き、5作目の『タラン・新しき王者』(1968)でニューベリー賞を受賞。人間にとって重要なのは出自ではないとするところにアメリカの作品であることが感じられる。ユーモアと明るさ・軽さがあるのと同時に、荒削りでドライな面があるところもアメリカ的である。18世紀を舞台にしたユーモア作品『セバスチァンの大失敗』(1970)では全米図書賞(児童図書部門)を受賞。趣味は猫と音楽で、バイオリン演奏が得意。
- <プリデイン物語> 神宮輝夫訳 評論社
- 『タランと角の王』 1972
- 『タランと黒い魔法の釜』 1973
- 『タランとリールの城』 1974
- 『旅人タラン』 1976
- 『タラン・新しき王者』 1977
- <プリデイン物語 別巻>(絵本) 神宮輝夫訳 評論社 エバリン・ネス絵
- 『コルと白ぶた』 1980
- 『フルダー・フラムとまことのたてごと』 1980
- <ロイド・アリグザンダー ユーモア作品集> 神宮輝夫訳 評論社
- 『セバスチァンの大失敗』 1977
- 『人間になりたがった猫』 1977
- 『木の中の魔法使い』 1977
- <ベスパー・ホリー物語> 宮下嶺夫訳 評論社
- 『イリリアの冒険』 1994
- 『エルドラドの冒険』 1994
- 『フィラデルフィアの冒険』 1995
- <ウェストマーク戦記> 宮下嶺夫訳 評論社
- 『王国の独裁者』 2008
- 『ケストレルの戦争』 2008
- 『マリアンシュタットの嵐』 2008
- 『猫ねこネコの物語』 田村隆一訳 評論社 1988
- 『怪物ガーゴンと、ぼく』 宮下嶺夫訳 評論社 2004
- 『ゴールデンドリーム』 宮下嶺夫訳 評論社 2014
- アンデルセン(アナセン),ハンス・クリスチャン Andersen, Hans Christian(1805~1875)
- デンマークの作家・詩人。「児童文学の父」と言われる。オーデンセの貧しい靴屋の家に生まれ、父親は早くに他界、母親も貧しさの中で亡くなった。1819年コペンハーゲンに出て、志した俳優業には失敗するが、奨学金を得てラテン語学校、コペンハーゲン大学に学ぶ。1829年に処女小説を自費出版。1835年イタリア紀行と自伝をもとにした小説『即興詩人』を出版、出世作となる。同年最初の童話集を刊行、初めは童話への理解が少なく不評だったが、次第に好評を得るようになる。各地を旅行し、多くの恋愛詩や戯曲も執筆した。作品には自伝的要素とキリスト教信仰がこめられたものが多く、愛や郷愁、支配階級への批判などが描かれている。「おやゆび姫」「皇帝の新しい着物(はだかの王様)」「みにくいアヒルの子」「人魚姫」「マッチ売りの少女」「赤いくつ」「雪の女王」などの、150編以上の物語は豊かな想像力に満ちているが、ややセンチメンタルなところもある。今日まで様々な翻訳が出ただけでなく、アニメーション・ミュージカル等の題材にもなり続けている。他の作品に『絵のない絵本』(1839)などがある。
- <アンデルセン童話全集>1~7 河出書房 1953~1955
- <アンデルセン童話全集>1~8 講談社 1963~1964
- <アンデルセン童話全集>1~5,別巻 高橋健二訳 小学館 1979~1980
- <アンデルセン童話選>1~2 大畑末吉訳 岩波書店 1967 →『アンデルセン童話集』1~2 岩波書店 1984
- <愛蔵版・アンデルセンの童話>1~4 大塚勇三訳 福音館書店 1992
- <アンデルセン童話全集>1~3 天沼春樹訳 西村書店 2011~2013 / 他多数
- イーザウ,ラルフ Isau, Ralf(1956~ )
- ドイツの作家。ベルリン生まれ。コンピュータのソフトウェア設計の仕事のかたわらファンタジー小説を執筆。ミヒャエル・エンデに認められ、作家として活動を始める。少年が旅の中で様々な体験を経て成長していく別世界ファンタジー『ヨナタンと伝説の杖』(1995)に始まる<ネシャン・サーガ>三部作で長編デビュー。宗教色が色濃くやや構成の荒さもあるが、読ませるスケールの大きい作品を描いている。他にブックステフーダー賞を受賞した『盗まれた記憶の博物館』(1997)、<暁の円卓>シリーズなどの作品がある。エンデの『はてしない物語』の続編のプロジェクトに参加し、『ファンタージエン 秘密の図書館』(2003)を出版。
- <ネシャン・サーガ> 酒寄進一訳 あすなろ書房
- 『ヨナタンと伝説の杖』 2000
- 『第七代裁き司の謎』 2001
- 『裁き司最後の戦い』 2001
- <パーラ> 酒寄進一訳 あすなろ書房
- 上『沈黙の町』 2004
- 下『古城の秘密』 2004
- <ミラート年代記> 酒寄進一訳 あすなろ書房
- 『古の民シリリム』 2008
- 『タリンの秘密』 2009
- 『シルマオの聖水』2010
- <暁の円卓> 酒寄進一訳 長崎出版
- 『目覚めの歳月』 2004
- 『情熱の歳月』 2004
- 『暗黒の歳月・前編』 2004
- 『暗黒の歳月・後編』 2004
- 『失意の歳月』 2004
- 『孤独の歳月・前編』 2005
- 『孤独の歳月・後編』 2005
- 『憤怒の歳月』 2005
- 『希望の歳月』 2005
- 『盗まれた記憶の博物館』上・下 酒寄進一訳 あすなろ書房 2002
- 『見えざるピラミッド 赤き紋章の伝説』上・下 酒寄進一訳 あすなろ書房 2007
- 『銀の感覚』上・下 酒寄進一訳 長崎出版 2008
- 『緋色の楽譜』上・下 酒寄進一訳 東京創元社 2011
- 『ファンタージエン 秘密の図書館』 酒寄進一訳 ソフトバンククリエイティブ 2005
- 『わらいかたをおしえてよ』(絵本) さかよりしんいち訳 長崎出版 2008 おおさわちか絵
- イソップ(アイソーポス) Æsop (Aisōpos ← Αισωπος)
- 古代ギリシアの寓話作家。「寓話の父」と言われる。紀元前6世紀初めトラキアに生まれ、のちサモス島で奴隷となり、解放されたあとは寓話の語り手として諸国を巡ったが、前550年代にデルフォイで罪を着せられ殺されたと言われている。イソップが語ったとされる寓話は、前4世紀頃から様々な形でまとめられてきたが、「ウサギとカメ」「セミとアリ(アリとキリギリス)」「北風と太陽」などの最後に教訓のついたごく短い話が400編程伝えられている。動物が主人公の話が多く、なじみやすい。古臭く教訓的過ぎる感じのものもあるが、今日でも納得できる普遍的なものもある。日本には16世紀の末頃に伝わり、現在まで様々な翻訳が出たほか、長めの物語として再話されたものも多い。
- 『イソップのお話』 河野与一編訳 岩波少年文庫 1955
- <イソップ寓話集>1~2 渡辺和雄訳 小学館 1982 / 他多数
- ウィーダ Ouida(1839~1908)
- イギリスの作家。本名マリ・ルイーズ・ド・ラ・ラメー。フランス人を父に、イギリス東部のベリ・セント・エドマンズに生まれる。のちイタリアに移住、その地で没する。子どもの頃から動植物に親しみ、生涯独身で犬や猫と暮らした。20歳頃から小説を書き始め、メロドラマ風のロマンスを多数執筆。『二つの国旗の下に』(1867)は映画化もされた。ベルギーのアントワープ付近を舞台にした『フランダースの犬』(1872)は、絵の好きな貧しい少年と飼犬との悲話で、日本では早くから紹介され感動的な名作として近年にもアニメーションになるなどした。感傷的で今日の基準では表現がいささかまわりくどいが、人々や社会への鋭い批評を含んでいる。
- 『フランダースの犬』 畠中尚志訳 岩波少年文庫 1957 / 野坂悦子訳 岩波少年文庫 2003 / 他
- 『帰ってきたむく犬』 やまぬしとしこ訳 旺文社 1973
- ウィリアムズ,アーシュラ・モレイ Williams, Ursula Moray(1911~2006)
- イギリスの児童文学作家。ハンプシャー州ピータースフィールドで双子のきょうだいの一人として生まれる。大きな屋敷で家庭教師の教育を受けて育つ。16歳のとき一年間フランスに滞在、帰国後絵を学ぶ。子どもの頃から創作を始め、結婚後も子育てをしながら多くの作品を執筆。作り主のおじいさんのために小さな木馬が頑張る『木馬のぼうけん旅行』(1938)などユーモラスな楽しい話を描く。
- 『木馬のぼうけん旅行』 石井桃子訳 福音館書店 1964
- 『ほがらか号のぼうけん』 渡辺茂男,新井有子訳 学習研究社 1973
- 『だめ天使ところころ魔女』 田中明子訳 学習研究社 1984
- 『しあわせいっぱい荘にやってきたワニ』 吉上恭太訳 福音館書店 2004
- 『魔女のこねこゴブリーノ』 中川千尋訳 福音館書店 2004
- ウェストール,ロバート Westall, Robert(1929~1993)
- イギリスの児童文学作家。ノーサンバーランド州タインマス生まれ。ダラム大学、ロンドン大学卒業。在学中に従軍。グラマー・スクールで美術教師をしながら作品を執筆。カーネギー賞を受賞した処女作『“機関銃要塞”の少年たち』(1975)は、空襲にさらされる第二次大戦下のイギリスの港町を舞台として、決して優等生ではない等身大の少年少女の世界がリアルに描かれ興味深い。母親の再婚に揺れる少年を描いたサイコ・ホラー『かかし』(1981)で再度カーネギー賞を受賞。戦争を扱った話やホラー、スリラーを得意とし、批評家だけでなく読者である子どもたちからも高い評価を受けている。他の作品に、ガーディアン賞を受賞した『海辺の王国』(1990)などがある。
- 『“機関銃要塞”の少年たち』 越智道雄訳 評論社 1980
- 『かかし』 金原瑞人訳 福武書店 1987 → 徳間書店 2003
- 『ブラッカムの爆撃機』 金原瑞人訳 福武書店 1990 → 宮崎駿編 岩波書店 2006
- 『海辺の王国』 坂崎麻子訳 徳間書店 1994
- 『クリスマスの猫』 坂崎麻子訳 徳間書店 1994
- 『弟の戦争』 原田勝訳 徳間書店 1995
- 『猫の帰還』 坂崎麻子訳 徳間書店 1998
- <Westall collection> 徳間書店
- <ウェストール短編集> 徳間書店
- 『真夜中の電話』 原田勝訳 2014
- 『遠い日の呼び声』 野沢佳織訳 2014
- 『水深五尋』 金原瑞人,野沢佳織訳 岩波書店 2009
- 『ゴーストアビー』 金原瑞人訳 あかね書房 2009
- ウェブスター,ジーン Webster, Jean(1876~1916)
- アメリカの作家。本名アリス・ジェーン・チャンドラー・スミス。ニューヨーク州フレドニア生まれ。母親はマーク・トウェインの姪。ヴァッサー大学で経済学を学ぶ。在学中から学内誌や新聞に作品を発表するほか、社会事業に関心を持ち孤児院や少年院をたびたび訪問。卒業後、雑誌などに寄稿しながら処女作『おちゃめなパッティ 大学へ行く』(1903)を出版。1906年からはしばらくイタリアをはじめ世界各地を旅行。帰国後は施設の改善など社会事業に取り組みながら作家活動を続ける。代表作となった小説『あしながおじさん』(1912)は、孤児院の少女が匿名の援助者へつづった手紙という形で少女の行動を生き生きと描いた楽しい作品である。前作の友人が行う孤児院の改革を扱っている『続・あしながおじさん』(1915)も、同じく手紙形式の楽しい話である。結婚の翌年、女児を出産後に亡くなる。
- 『あしながおじさん』 遠藤寿子訳 岩波少年文庫 1950 / 谷口由美子訳 岩波少年文庫 2002 / 松本恵子訳 新潮文庫 1954 / 坪井郁美訳 福音館書店 1970 / 他
- 『続・あしながおじさん』上・下 遠藤寿子訳 岩波少年文庫 1955 / 松本恵子訳 新潮文庫 1961 / 他
- 『おちゃめなパッティ』 白木茂訳 岩崎書店 1964
/ 遠藤寿子訳 ブッキング 2004 ←『女学生パッティ』若草文庫(三笠書房) 1955
/『おちゃめなパティー』 榎林哲訳 講談社セシール文庫 1981
- 『パティ,カレッジへ行く』 内田庶訳 講談社マスコット文庫 1967 →『おちゃめなパッティ 大学へ行く』ブッキング 2004
- 『ジェリーは若い』 榎林哲訳 講談社マスコット文庫 1967
- 『ピーターは忙しい』 白柳美彦訳 講談社マスコット文庫 1967
- ヴェルヌ(ベルヌ),ジュール Verne, Jules(1828~1905)
- フランスの作家。SFの創始者の一人と言われる。ナント生まれ。冒険好きで、少年時代に商船に乗って外国へ出ようとして連れ戻されたという。1847年法律の勉強のためパリに出るが、アレクサンドル・デュマらと知り合い劇作を始める。株式仲買人として生活を支えながら1856年に結婚。友人の写真家の気球建造計画にヒントを得た小説『気球に乗って五週間』(1863)が評判になり、以後『地底旅行』(1864)『月世界旅行』(1865)『海底二万哩』(1870)『八十日間世界一周』(1873)『神秘の島』(1875)など、当時の最新の科学知識を盛り込んだ冒険小説を次々に発表。無人島に漂着した少年たちを描く少年冒険小説の傑作『二年間の休暇』(1888)は、細部まで書き込まれていて大変おもしろく、日本では森田思軒訳『十五少年』ほか明治時代から訳され、『十五少年漂流記』の題でよく読まれた。純粋に子ども向けの作品は少ないが、理想主義的で道徳的であり、子どもも楽しめる冒険小説が多い。
- 『十五少年漂流記』 那須辰造訳 講談社 1964 /『二年間の休暇』 朝倉剛訳 福音館書店 1968 / 他
- 『海底二万里』上・下 石川湧訳 岩波少年文庫 1956~1957 / 上・下 私市保彦訳 岩波少年文庫 2005 /『海底二万リーグ』 榊原晃三訳 あかね書房 1972 /『海底二万海里』 清水正和訳 福音館書店 1973 /『海底二万マイル 』 塚原亮一訳 偕成社 1982 /『海底旅行』 村上啓夫著 講談社 1952
- 『神秘の島』上・下 清水正和訳 福音館書店 1978
- 『地底旅行』 石川湧,石川布美訳 偕成社文庫 1993 /『地底探検』 久米元一訳 岩崎書店 1976
- 『八十日間世界一周』 江口清訳 講談社 1958 / 那須辰造訳 集英社 1975
- 『船長のゆくえ』上・下 宮原晃一郎訳 平凡社 1956~1957
- <ベルヌ冒険名作選集>1~12 岩崎書店 1959~1960
- <少年少女ベルヌ科学名作全集>1~12 学習研究社 1964
- <ベルヌ名作全集>1~15 偕成社 1968~1969
- <少年少女ベルヌ科学名作>1~12 学習研究社 1969
- ヴェルフェル(ウェルフェル),ウルズラ Wölfel, Ursula(1922~2014)
- ドイツの児童文学作家。ルール地方のドゥイスブルク-ハムボルン生まれ。ハイデルベルク、フランクフルトの大学などで学ぶ。教師をつとめたのち、数年間教育研究所に勤務。第二次大戦で夫を失う。1950年代末頃から創作を始め、子どもの世界への共感、ユーモアに満ちた作品で知られる。父と息子が夏休みに徒歩旅行をする『火のくつと風のサンダル』(1961)は、ちょっとしたことが冒険になる楽しさや親子の交流にほのぼのとした味わいがあり、ドイツ児童図書賞を受賞。一方、児童文学のあり方の論議を呼んだ短編集『灰色の畑と緑の畑』(1970)は、貧困や差別などの社会問題をありのままに描いて問題の解決を子どもたちに考えさせる異色作で、短い話の中に真実がこめられた力作である。
- 『灰色の畑と緑の畑』 野村泫訳 岩波書店 1974
- 『火のくつと風のサンダル』 関楠生訳 学習研究社 1966
- 『こんにちはスザンナ』 関楠生訳 学習研究社 1967
- 『いたずらっ子といたずらヤギ』 関楠生訳 学習研究社 1978
- ヴォイチェホフスカ,マヤ(ヴジェコフスカ,マイア) Wojciechowska, Maia(1927~2002)
- アメリカの児童文学作家。ポーランドのワルシャワ生まれ。ナチス・ドイツのポーランド侵攻後、4年間ヨーロッパを放浪したのち、1942年アメリカに移住、50年に市民権を獲得。カリフォルニア大学を中退後、翻訳家、編集者、私立探偵、広告代理業、アナウンサー、テニスコーチなど様々な職業につきながら大人向けの作品を執筆していたが、『ティ・アンドレの市日』(1952)で児童文学作家として注目される。闘牛士になることを期待される少年の葛藤を描く『闘牛の影』(1964)でニューベリー賞を受賞。自伝的作品『夜が明けるまで』(1972)では、第二次大戦下のヨーロッパを転々とする少女の心理を生々しく描いている。愛や誇りなど子どもたちの内面の問題を多く描く作家である。
- 『闘牛の影』 渡辺茂男訳 あかね書房 1967 → 岩波少年文庫 1997
- 『ひとすじの光』 清水真砂子訳 ポプラ社 1970 → 偕成社文庫 1982
- 『夜が明けるまで』 清水真砂子訳 岩波少年文庫 1980
- 『わんぱくきょうだい大さくせん』 清水真砂子訳 岩波書店 1981 →『わんぱくきょうだい大作戦』 岩波少年文庫 1997
- 『LSD-兄ケビンのこと』 清水真砂子訳 岩波書店 1983
- 『神さまがやってきた』 清水真砂子訳 すぐ書房 1989
- ウォルシュ,ジル・ペイトン Walsh, Jill Paton(1937~ )
- イギリスの児童文学作家。ロンドン生まれ。オックスフォード大学卒業。3年間教師をつとめたのち、歴史物語『ヘンゲスト物語』(1966)を出版して作家活動を開始。思春期の少女の心の動きを描く連作『夏の終わりに』(1972)『海鳴りの丘』(1976)は、緻密な情景描写・心理描写でつづられ、後者でボストングローブ・ホーンブック賞を受賞。他の作品に、第二次大戦下の空襲にさらされるロンドンを舞台とした『焼けあとの雑草』(1969)、ケストレル賞を受賞した17世紀のロンドンのペスト流行を描いた『死の鐘はもうならない』(1983)などがあり、現代小説から戦争・歴史を扱ったものやファンタジー・SFまで幅広い世界を的確に描く作家として知られている。
- 『夏の終りに』 百々佑利子訳 岩波書店 1980
- 『海鳴りの丘』 百々佑利子訳 岩波書店 1981
- 『焼けあとの雑草』 澤田洋太郎訳 学習研究社 1971 → 福武文庫 1990
- 『死の鐘はもうならない』 岡本浜江訳 国土社 1985
- 『ふしぎなトーチの旅』 岡本浜江訳 国土社 1988
- 『不思議な黒い石』 遠藤育枝訳 原生林 1990
- 『パティの宇宙日記』 岡本浜江訳 文研出版 1991
- 『おばあちゃんがいったのよ』(絵本) えんどういくえ訳 ブックローン出版 1996 ソフィー・ウィリアムズ絵
- 『コニーちゃんがあそびにきたよ』(絵本) まつかわまゆみ訳 評論社 1998 スティーブン・ランバート絵
- 『おばあちゃんがちいさかったころ』(絵本) まつかわまゆみ訳 評論社 2004 スティーブン・ランバート絵
- エイケン(エイキン),ジョーン Aiken, Joan(1924~2004)
- イギリスの作家。サセックス州ライ生まれ。父親はアメリカの詩人コンラッド・エイケン。イギリスで生まれ育ち、12歳までは家で母親から教育を受ける。10代のうちから詩や短編が雑誌に載ったりBBCで放送されたりした。19歳で結婚後、ロンドンの国連事務所で働きながら作品を執筆。30歳のとき夫と死別し、以後雑誌社に勤務しながら本格的に作家として活動を始める。歴史ファンタジーと言われる『ウィロビー・チェースのおおかみ』(1962)に始まる連作は、架空の19世紀でのスリルあふれる冒険物語で、『ささやき山の秘密』(1968)はガーディアン賞を受賞。他に『しずくの首飾り』(1968)などの美しい創作妖精物語集、エドガー・アラン・ポー賞を受賞したミステリー『暗闇に浮かぶ顔』(1969)、テレビ脚本として書かれた幼年童話『かってなカラスおおてがら』(1972)など多彩な作品を豊かな空想力で描く。『子どもの本の書きかた』(1982)という著作もある。
- 『ウィロビー・チェースのおおかみ』 大橋善恵訳 冨山房 1975 /『ウィロビー・チェースのオオカミ』 こだまともこ訳 冨山房 2008 /『ウィロビー館のオオカミ』 掛川恭子訳 講談社青い鳥文庫 1992
- 『バターシー城の悪者たち』 大橋善恵訳 冨山房 1976 /『バタシー城の悪者たち』こだまともこ訳 冨山房 2011
- 『ナンタケットの夜鳥』 大橋善恵訳 冨山房 1977 / こだまともこ訳 冨山房 2016
- 『かっこうの木』 大橋善恵訳 冨山房 1980
- 『ぬすまれた湖』 大橋善恵訳 冨山房 1989
- 『ダイドーと父ちゃん』 こだまともこ訳 冨山房 2008
- 『少女イス地下の国へ』 こだまともこ訳 冨山房 2010
- 『コールド・ショルダー通りのなぞ』 こだまともこ訳 冨山房 2012
- 『ささやき山の秘密』 越智道雄訳 冨山房 1978
- 『ふしぎな八つのおとぎばなし』 こだまともこ訳 冨山房 2012
- 『しずくの首飾り』 猪熊葉子訳 岩波書店 1975
- 『海の王国』 猪熊葉子訳 岩波書店 1976
- 『かってなカラスおおてがら』 猪熊葉子訳 岩波書店 1981
- 『カラスゆうかいじけん』 猪熊葉子訳 岩波書店 1981
- 『とんでもない月曜日』 猪熊葉子訳 岩波少年文庫 1978
- 『魔法のアイロン』 猪熊葉子訳 岩波少年文庫 1988
- <アーミテージ一家のお話> 猪熊葉子訳 岩波少年文庫
- 『おとなりさんは魔女』 2010
- 『ねむれなければ木にのぼれ』 2010
- 『ゾウになった赤ちゃん』 2010
- 『暗闇に浮かぶ顔』 蕗沢忠枝訳 あかね書房 1981
- 『台所の戦士たち』 大橋善恵訳 ほるぷ出版 1988
- 『ぬすまれた夢』 井辻朱美訳 くもん出版 1992
- 『夜八時を過ぎたら…』 井辻朱美訳 くもん出版 1995
- 『心の宝箱にしまう15のファンタジー』 三辺律子訳 竹書房 2006
→『ひとにぎりの黄金 宝箱の章』竹書房文庫 2013
→『ひとにぎりの黄金 鍵の章』竹書房文庫 2013
- 『レンタルの白鳥』 秋國忠教訳 文芸社 2012
- 『月のしかえし』(絵本) 猪熊葉子訳 徳間書店 1995 アラン・リー絵
- 『しらゆきひめ』(絵本) せなあいこ訳 評論社 2002 ベリンダ・ダウンズ刺繍
- 『子どもの本の書きかた』(評論) 猪熊葉子訳 晶文社 1982
- エスティス,エレナー(エステス,エリナー/エスティーズ,エリノア) Estes, Eleanor(1906~1988)
- アメリカの児童文学作家。コネティカット州ウエスト・ヘイブン生まれ。高校卒業後ニューヘイブンの公共図書館に勤める。1931年に奨学金を受けてニューヨークのプラット・インスティテュート図書館学校に学び、翌年から1940年まで同市の公共図書館に児童図書館員として勤務。病気療養中に書いた処女作『元気なモファットきょうだい』(1941)は、貧しいながらも明るく過ごす子どもたちを生き生きと描いて家庭物語の傑作と評価された。絵本風の短編『百まいのきもの』(1944)は、貧しさや変わった名前、ふとした一言によるいじめという現代にもつながる問題を扱っており、考えさせられる。行方不明になった犬を探すミステリー風の作品『すてきな子犬ジンジャー』(1951)でニューベリー賞を受賞。1988年アルバータス・マグナス大学から名誉博士号を授与された。
- <モファットきょうだい物語> 渡辺茂男訳 岩波少年文庫
- 『元気なモファットきょうだい』 1988 ←『黄色い家』 あかね書房 1960
- 『ジェーンはまんなかさん』 1991
- 『すえっ子のルーファス』 1995
- 『モファット博物館』 松野正子訳 岩波少年文庫 2005
- 『百まいのきもの』 石井桃子訳 岩波書店 1954 →『百まいのドレス』 2006
- 『すてきな子犬ジンジャー』 那須辰造訳 講談社 1964
- 『キリンのいるへや』 渡辺茂男訳 学習研究社 1967
- 『ガラス山の魔女たち』 渡辺茂男訳 学習研究社 1974 /『魔女ファミリー』 井上富雄訳 瑞雲社 2002
- 『かげをなくした女の子』 渡辺茂男訳 学習研究社 1976
- 『かさどろぼうを追いかけて』 谷口由美子訳 あかね書房 1988
- 『はじめてのクリスマス・ツリー』 渡辺茂男訳 岩波書店 1998
- エッカート,アラン・W. Eckert, Allan W.(1931~2011)
- アメリカの作家。ニューヨーク州バッファロー生まれ。デイトン大学、オハイオ州立大学を卒業。兵役終了後、地方新聞の記者やコラムニストとして活動し、1960年フリーのライターとなる。世界各地を旅行し、リーダーズ・ダイジェストなどに博物学的知識の豊かな文を寄稿するほか、テレビの自然番組のシナリオも執筆。フィクションを含め多くの作品を発表しており、ピューリッツァー賞の候補になったこともある。実話をもとにした『アナグマと暮した少年』(1971)は、カナダの開拓地を舞台に少年とアナグマとの交流、家族や隣人との確執を描いており、心理描写もさることながら自然描写がよくできている。ファンタジー『みどりのトンネルの秘密』(1984)もあるが、模倣作の域を出ていない。
- 『アナグマと暮した少年』 中村妙子訳 岩波書店 1982 /『大草原の奇跡』 和田穹男訳 めるくまーる 2000
- 『みどりのトンネルの秘密』 山田順子訳 岩波書店 1987
- エルショーフ(エルショフ),ピョートル・パーヴロヴィチ Ершов, Пётр Павлович(1815~1869)
- ロシアの詩人。西シベリアのトボリスク県近郊の村で生まれる。ペテルブルグ大学卒業。中学の教師、校長、検閲官などを務める。大学在学中の1834年、民話をもとにした物語詩『せむしの小馬』の一部を雑誌に発表、プーシキンの絶賛を受けたが、権力者を批判・風刺するものでもあったため、検閲に遭い完全な形のものは1856年になってから出版された。正直者が様々な難題を解決して成功する冒険がおもしろく、絵本や映画、バレエなどにもなった。
- 『せむしの小馬』 網野菊訳 岩波少年文庫 1957 /『こぶの小馬』 田辺佐保子訳 ぎょうせい 1982 / 他
- エンデ,ミヒャエル Ende, Michael(1929~1995)
- ドイツの作家。南ドイツのガルミッシュ-パルテンキルヘン生まれ。父親はシュールレアリスムの画家エトガル・エンデ。シュトゥットガルトのシュタイナー学校を経てミュンヘンのオットー・ファルケンベルク演劇学校で学び、1951年から演劇俳優として活動しながら脚本を執筆。劇作では認められずにいたが、児童文学としての処女作『ジム・ボタンの機関車大旅行』(1960)でドイツ児童図書賞を受賞。時間をテーマに現代人の生活の仕方を問いかけるファンタジー『モモ』(1973)で再度ドイツ児童図書賞を受賞、のち自らの主導で映画化された。人間の想像力の問題を扱った『はてしない物語』(1979)は、少々盛り込み過ぎだが凝った構成のファンタジーで、世界的なベストセラーになりアメリカで映画化された。主張がかなり前面に出ていてやや教訓臭が強いが、豊かなイメージに満ちている。絵本や大人向けの作品もある。
- 『モモ』 大島かおり訳 岩波書店 1976
- 『はてしない物語』 上田真而子,佐藤真理子訳 岩波書店 1982
- 『サーカス物語』 矢川澄子訳 岩波書店 1984
- <ジム・ボタンの冒険> 塩谷太郎訳 講談社 / 上田真而子訳 岩波書店
- 『ジム・ボタンの機関車大冒険』 1974 /『ジム・ボタンの機関車大旅行』 1986
- 『ジム・ボタンと十三人の海賊』 1975 /『ジム・ボタンと13人の海賊』 1986
- 『まほうのスープ』 ささきたづこ訳 岩波書店 1991
- 『レンヒェンのひみつ』 池内紀訳 岩波書店 1992
- 『魔法のカクテル』 川西芙沙訳 岩波書店 1992
- 『サンタ・クルスへの長い旅』 ささきたづこ訳 岩波書店 1993
- 『魔法の学校』 矢川澄子訳 岩波書店 1996 / 池内紀,佐々木田鶴子,田村都志夫,矢川澄子訳 岩波書店 2017
- 『カスペルとぼうや』(絵本) 矢川澄子訳 ほるぷ出版 1977 ロスビータ・クォードフリク絵
- 『がんばりやのかめトランキラ』(絵本) 虎頭恵美子訳 ほるぷ出版 1979 マリー・ルイーゼ・プリッケン絵
→『トランキラ・トランペルトロイ』 1987 マンフレット・シュリューター絵
- 『おとなしいきょうりゅうとうるさいちょう』(絵本) 虎頭恵美子訳 ほるぷ出版 1987 マンフレット・シュリューター絵
- 『ゆめくい小人』(絵本) 佐藤真理子訳 偕成社 1981 アンネゲルト・フックスフーバー絵
- 『森の賢者ヒダエモン』(絵本) 矢川澄子訳 河出書房新社 1984 クリストフ・ヘッセル絵
- 『オフェリアと影の一座』(絵本) 矢川澄子訳 岩波書店 1988 フリードリヒ・ヘッヘルマン絵
- 『はだかのサイ』(絵本) 矢川澄子訳 岩波書店 1988 マンフレート・シュリューター絵
/ 佐々木田鶴子訳 フレーベル館 2013 ヨッヘン・シュトゥーアマン絵
- 『テディ・ベアとどうぶつたち』(絵本) ささきたづこ訳 岩波書店 1994 ベルンハルト・オーバーディーク絵
- 『満月の夜の伝説』(絵本) 佐藤真理子訳 岩波書店 1994 ビネッテ・シュレーダー絵
- 『哲学するゾウ フィレモンシワシワ』(絵本) 那須田淳訳 BL出版 2006 ダニエラ・シュジンスキー絵
- 『影の縫製機』(絵本) 酒寄進一訳 長崎出版 2006 ビネッテ・シュレーダー絵
- エンライト,エリザベス Enright, Elizabeth(1909~1968)
- アメリカの児童文学作家。シカゴ近郊のオーク・パーク生まれ。高校卒業後、ニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグとパリで絵を学び、20歳で挿絵画家として仕事を始める。物語の執筆も始め、1935年に処女作を出版。自ら挿絵も手がけた『ゆびぬきの夏』(1938)は、アメリカ中北部ウィスコンシン州の農場での少女の心理や素朴な生活が生き生きと描かれ、ニューベリー賞を受賞。日常生活の中の冒険を扱った連作のほか、美しい不思議な国での一人の少女をめぐる出来事を描いた珠玉のファンタジー『ひかりの国のタッシンダ』(1963)などの作品がある。
- 『ひかりの国のタッシンダ』 久保田輝男訳 学習研究社 1968 → フェリシモ 2001
- 『銀の指ぬき』 大門一男訳 講談社 1958 /『ゆびぬきの夏』 堀口香代子訳 福武書店 1990 /『指ぬきの夏』 谷口由美子訳 岩波少年文庫 2009
- 『土曜日はお楽しみ』 谷口由美子訳 岩波書店 2010
- オセーエワ,ワレンチナ・アレクサンドロヴナ Осеева, Валентина Александровна(1902~1969)
- ソビエト時代のロシアの児童文学作家。ウクライナのキエフ生まれ。キエフのルイセンコ学院演劇科に学ぶ。母親の経営する孤児や浮浪児のための施設で働きながら、マルシャークと協力して、子どものために自作の物語を話して聞かせたり、芝居を上演したりする。1937年に短編が新聞に掲載され本格的な作家活動を開始。作品に、短編集『魔法のことば』(1944)、ピオネール少年団の活動を描く『ワショークと仲間たち』(1952)などがある。社会への義務、正義、友情などを扱い、いかにもソビエトの話らしく健全で教訓的だが、かえってはっきりしていて嫌味でなくわかりやすい。
- 『ワショークと仲間たち』 袋一平訳 岩波少年文庫 1957
- 「森のほのお」 袋一平訳 東京創元社(『世界少年少女文学全集 41 緑の谷』所収) 1956
- オデール(オデル),スコット O'Dell, Scott(1903~1989)
- アメリカの作家。ロサンゼルス生まれ。スタンフォード大学、ローマ大学などで学び、卒業後は映画監督、新聞記者、雑誌編集者など様々な職業を経て作家となる。第二次大戦では従軍。大人向けの評論や歴史小説を執筆していたが、当時の子どもの本に失望して、実話をもとにした孤島に取り残された少女が一人で暮らす物語『青いイルカの島』(1960)を発表し、ニューベリー賞を受賞、映画化もされた。他の作品に、16世紀のメキシコでの黄金をめぐる歴史物語『黄金の七つの都市』(1966)、真珠と伝説の大エイとの戦いを通じて成長する少年を描く『黒い真珠』(1967)などがある。生命の尊厳、少数民族の立場、人間の欲や奢りなどを描いた重厚な作品が多い。1972年に国際アンデルセン大賞を受賞。
- 『青いイルカの島』 藤原英司訳 理論社 1966
- 『ナバホの歌』 犬飼和雄訳 岩波書店 1974
- 『黄金の七つの都市』 大塚勇三訳 岩波書店 1977
- 『黒い真珠』 小野章訳 評論社 1977
- 『鷹は昼 狩りをしない』 犬飼和雄訳 ぬぷん児童図書出版 1980
- 『ブラックスター』 上村修訳 あかね書房 1990
- 『小川は川へ、川は海へ』 柳井薫訳 小峰書店 1997
- 『銀をもってきたロバさん』(絵本) 山本けい子訳 ぬぷん児童図書出版 1981 リンド・ワード絵
- 『おばあちゃんのおみやげ』(絵本) 山本けい子訳 ぬぷん児童図書出版 1981 レナード・ウエイスガード絵
- オルコット,ルイザ・メイ Alcott, Louisa May(1832~1888)
- アメリカの作家。ペンシルバニア州ジャーマン・タウン生まれ。理想主義的な教育者・哲学者であった父親のもと、各地を転々としながら家庭で教育を受け、ソロー、エマースンなどの思想に影響を受けて育つ。10代から教師や家事奉公をして家計を助け、小説や脚本も執筆。処女作『花物語』(1855)の出版後、南北戦争では従軍看護婦として働き、そのとき書いた手紙をもとに戦争の悲惨さを訴える『病院のスケッチ』(1864)を発表。自伝的な小説『若草物語』(1868)は、両親と四人姉妹の日常生活が明るく生き生きと描かれ、のちに映画化もされ続編も書かれた。日本では登場人物の性格の書き分けにすぐれ、アメリカの家庭小説の代表的な作家と言われる。他の作品に『昔気質の一少女』(1870)、『八人のいとこ』(1874)、『ライラックの花の下』(1877)などがある。
- <オルコット少女名作全集> 岩崎書店
- 『若草物語』 白木茂訳 1961
/ 吉田勝江訳 角川文庫 1950
/ 矢川澄子訳 福音館書店 1985
/『四人の姉妹』上・下 遠藤寿子訳 岩波少年文庫 1958
/ 上・下 海都洋子訳 岩波少年文庫 2013 / 他
- 『愛の四少女』 山本藤枝訳 1961
/『続若草物語』上・下 吉田勝江訳 角川文庫 1952
- 『愛の学校』上田健次郎訳 1961
/『第三若草物語』 吉田勝江訳 角川文庫 1961
/『愛の学園』 露木陽子訳 偕成社 1955
/『若草物語 プラムフィールドの子どもたち』 谷口由美子訳 講談社青い鳥文庫 1993
- 『ふるさとの歌』 二反長半訳 1961
/『第四若草物語』吉田勝江訳 角川文庫 1963
/『故郷の人びと』 中山知子訳 国土社 1977
/『若草物語 プラムフィールドの青春』 谷口由美子訳 講談社青い鳥文庫 1995
- 『美しいポリー』 村岡花子訳 1961
- 『風の中のポリー』 宮脇紀雄訳 1961
(5・6)/『昔気質の一少女』(上・下) 吉田勝江訳 角川文庫 1951
/『薔薇物語』 松本恵子著 ポプラ社 1953
/『谷間の白百合』 三木澄子著 偕成社 1955
- 『ローズの季節』 村岡みどり訳 1961
/『八人のいとこ』 村岡花子訳 角川文庫 1960
- 『ローズの幸福』 槇本ナナ子訳 1961
/『花ざかりのローズ』 村岡花子,佐川和子訳 角川文庫 1961
- 『村のセレナーデ』 佐川和子訳 1973
/『ジャックとジル』 松原至大訳 講談社 1960
- 『ライラックの木かげ』 岡上鈴江訳 1961
/『ライラックの花の下』 松原至大訳 角川文庫 1958
/『リラの花さく家』 山主敏子編著 偕成社 1959
/『父よいずこ』 長谷川幹夫文 黎明社 1961
/『木蔭の家』上・下 磯野富士子訳 中央公論社 1949
- 『花ものがたり』 中山知子訳 1961
/『オルコットの花物語』 勝又紀子,北川時訳 講談社 1958
- 『オルコット物語』(伝記,コーネリア・メグス著) 白木茂,吉田比砂子訳 1961
- 『病院のスケッチ』 谷口由美子訳 篠崎書林 1985
- 『やくそくをまもったインディアン』 しらきしげる文 旺文社 1970
- オールドリッジ,ジェイムズ Aldridge, James(1918~2015)
- オーストラリアの作家。メルボルンやロンドンで新聞記者として働き、第二次大戦中は中近東などで特派員を務めた。旅行記、伝記、小説等様々な分野の作品を書き、1945年にリース記念文学賞、1967年には世界平和協議会金賞を受賞。オーストラリアの小さな町を舞台にした『ある小馬裁判の記』(1973)は、一頭の小馬の所有権をめぐって正義・平等・貧富の問題を描いている。モンゴルの少年とイギリスの少女の手紙文でつづられる『タチ』(1974)は、イギリスへ送られた蒙古野馬がポニーを連れてはるかなモンゴルへと向かう話で、ハラハラする冒険物語のようにおもしろく読める。イギリス在住。
- 『ある小馬裁判の記』 中村妙子訳 評論社 1976
- 『タチ』 中村妙子訳 評論社 1977
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