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私的 児童文学作家事典〔海外編〕サ行
2018年7月15日 鈴木朝子
- サウスオール,アイバン Southall, Ivan(1921~2008)
- オーストラリアの作家。ビクトリア州カンタベリー生まれ。14歳で父親が亡くなり、学校を退学して働く。第二次大戦中は空軍のパイロットとして従軍。イギリスで戦史の編纂に従事したのち結婚して帰国し、航空冒険小説のシリーズを執筆。1960年代に入ってから、オーストラリアの風土に根ざした、日常生活の中での冒険を描いた作品を発表し始め、成長期の子どもたちの心理を巧みに表現する。ちょっとした過失から引き起こされる大火の恐ろしさを扱った『燃えるアッシュ・ロード』(1965)、少年の自己との戦いを描く『ぼくは逃げない』(1970)はともにオーストラリア児童文学賞を受賞。イギリスのカーネギー賞を受賞した『ジョシュ』(1971)は、異なった環境の中での少年の葛藤を描いている。
- 『燃えるアッシュ・ロード』 石井桃子,山本まつよ訳 子ども文庫の会 1968 / 小野章訳 偕成社文庫 1980
- 『ジョシュ』 小野章訳 評論社 1975
- 『ヒルズ・エンド』 小野章訳 評論社 1976 → 『嵐のなかの子どもたち』 てのり文庫 1990
- 『フォックス・ホール』 久米穣訳 評論社 1977
- 『風船をとばせ!』 久米穣訳 評論社 1982
- 『ぼくは逃げない』 小野章訳 偕成社 1982
- サトクリフ,ローズマリ Sutcliff, Rosemary(1920~1992)
- イギリスの作家。サリー州生まれ。2歳の時にかかった関節炎で手足が不自由となり、9歳になってから学校に入るが、14歳でビディフォド美術学校に進み、細密画家となる。1950年から子ども向けの歴史物語を発表し始め、綿密な調査と豊かな想像力による巧みな構成と性格描写で、その時代の情景、歴史の意味、その中に生きる若者の成長をリアルに描き出した読みごたえのある骨太な作品を執筆。『第九軍団のワシ』(1954)に始まる<ローマン・ブリテン三部作>の3作目『ともしびをかかげて』(1959)でカーネギー賞を受賞。他に、身体の不自由を克服する少年の物語『太陽の戦士』(1958)、1985年にフェニックス賞を受賞した『王のしるし』(1965)などがある。1970年代からはラジオの脚本、幼年向けの歴史物語、伝説の再話なども手がけ、『トリスタンとイズー』(1971)でボストングローブ・ホーンブック賞を受賞。
- 『太陽の戦士』 猪熊葉子訳 岩波書店 1968
- 『王のしるし』 猪熊葉子訳 岩波書店 1973
- 『第九軍団のワシ』 猪熊葉子訳 岩波書店 1972
- 『銀の枝』 猪熊葉子訳 岩波書店 1994
- 『ともしびをかかげて』 猪熊葉子訳 岩波書店 1969
- 『辺境のオオカミ』 猪熊葉子訳 岩波書店 2002
- 『運命の騎士』 猪熊葉子訳 岩波書店 1970
- 『小犬のピピン』 猪熊葉子訳 岩波書店 1995
- 『トリスタンとイズー』 井辻朱美訳 沖積舎 1989
- 『ベーオウルフ』 井辻朱美訳 沖積舎 1990
- 『はるかスコットランドの丘を越えて』 早川敦子訳 ほるぷ出版 1994
- 『ケルトの白馬』 灰島かり訳 ほるぷ出版 2000
- 『ケルトとローマの息子』 灰島かり訳 ほるぷ出版 2002
- 『ヴァイキングの誓い』 金原瑞人,久慈美貴訳 ほるぷ出版 2002
- 『黄金の騎士フィン・マックール』 金原瑞人,久慈美貴訳 ほるぷ出版 2003
- 『炎の戦士クーフリン』 灰島かり訳 ほるぷ出版 2003
- 『夜明けの風』 灰島かり訳 ほるぷ出版 2004
- 『アネイリンの歌』 本間裕子訳 小峰書店 2002
- 『闇の女王にささげる歌』 乾侑美子訳 評論社 2002
- 『イルカの家』 乾侑美子訳 評論社 2004
- 『ほこりまみれの兄弟』 乾侑美子訳 評論社 2010
- 『竜の子ラッキーと音楽師』(絵本) 猪熊葉子訳 岩波書店 1994 エマ・チチェスター=クラーク絵
- 『思い出の青い丘』(自伝) 猪熊葉子訳 岩波書店 1985
- サーバー,ジェームズ Thurber, James Grover(1894~1961)
- アメリカの作家。オハイオ州コロンバス生まれ。オハイオ州立大学卒業。1918年国務省に就職し、2年間駐パリ大使館員を務める。その後ジャーナリストとして活動したのち、「ニューヨーカー」誌を中心に多くの新聞・雑誌に、ユーモアと風刺に満ちた短編やエッセイ、漫画を発表。短編「ウォルター・ミティの秘められた生涯」は『虹をつかむ男』として映画化された。子ども向けの作品としては、絵本として出版され劇にもなった、大人の既成概念を鮮やかに転覆させてみせる『たくさんのお月さま』(1944)のほか、いろいろな笑いのこめられた『新イソップ物語』(1940)などがある。
- 『たくさんのお月さま』 今江祥智訳 学習研究社 1965 → サンリオ出版 1976
- 『大おとことおもちゃさん』 那須辰造訳 偕成社 1967 / 『おもちゃ屋のクィロー』 上條由美子訳 福音館書店 1996
- 『たくさんのお月さま』(絵本) 中川千尋訳 徳間書店 1994 ルイス・スロボドキン絵
- ザルテン,フェーリックス Salten, Felix(1869~1945)
- オーストリアの作家。本名ジークムント・ザルツマン。オーフェンペスト(現ハンガリーのブダペスト)生まれ。父親の事業の失敗からウィーンに移り、高校に通いながら働く。10代の終わりから小説を新聞や雑誌に発表し始め、ウィーンの青年作家のグループの一員となって小説、戯曲、劇評の執筆、新聞の文芸欄の編集に携わる。動物物語に優れ、動物の視点から見た美しくも厳しい森の生活を豊かな洞察力で描き出した『バンビ』(1923)は、特に英米で評判になり、絵本やディズニーのアニメ映画にもなった。1933年オーストリアがナチスの勢力下に入るとペンクラブの会長職を辞しアメリカに亡命、のちスイスのチューリヒで亡くなる。
- <ザルテン動物文学全集> 白水社
- 『子じかバンビ』 実吉捷郎訳 1960
/『バンビ』 高橋健二訳 岩波少年文庫 1952 / 上田真而子訳 岩波少年文庫 2010
- 『小りすペリー』 角信雄訳 1960 →『子リスのペリー物語』 金の星社 1989
- 『小ねこジビー』 望月市恵訳 1960
- 『白馬フローリアン』 芦田弘夫訳 1961
- 『名犬レンニー』 伊藤武雄訳 1961
- 『十五匹のうさぎ』 浜川祥枝訳 1961 →『15ひきのウサギ物語』 金の星社 1992
- 『バンビの子供たち』 吉田正己訳 1961
- サン=テグジュペリ,アントワーヌ・ド Saint-Exupéry, Antoine de(1900~1944)
- フランスの作家・飛行士。リヨン生まれ。美術学校の建築科に学ぶが、1921年兵役でストラスブール航空隊に入る。除隊後自動車工場で働いたのち、アフリカや南アメリカへの定期便や郵便飛行のパイロットとして活動する。スペイン戦争のルポライターを務めたほか、飛行士を描いた小説を執筆し、『夜間飛行』(1931)でフェミナ賞を、『人間の土地』(1939)でアカデミー小説大賞を受賞。第二次大戦ではフランスの敗北後アメリカに亡命するが、飛行隊に加わって従軍し、コルシカ島沖を偵察飛行中行方不明となる。唯一の子ども向け作品と言える『星の王子さま』(1943米、1946仏)は、悲観的・否定的であるという批判もあるが、詩情豊かな文章で人生・世界について考えさせられる美しい物語である。
- ジー,モーリス Gee, Maurice(1931~ )
- ニュージーランドの作家。北島のフアカタネ生まれ。オークランド大学卒業後、10年間教職につき、その後図書館司書の資格を取って各地の図書館に勤務しながら小説を執筆。1976年退職して専業作家となり、反戦小説『プラム』(1978)で多くの賞を受賞。1979年からは子ども向けのSFやファンタジーも手がけ、テレビドラマ化されたものもある。日常生活の裏に隠れている危機に立ち向かう子どもたちの愛と正義を信じ、多くの魅力的な種族の住む別世界での物語『惑星Oの冒険』(1982)では、善悪の攻防に巻き込まれる少女と少年の活躍を描いている。
- 『惑星Oの冒険』 百々佑利子訳 岩波書店 1984
- ジェイコブズ(ジェイコブス),ジョゼフ Jacobs, Joseph(1854~1916)
- イギリスの民話研究家。オーストラリアのシドニー生まれ。イギリスに渡り、ケンブリッジ大学で歴史、人類学、文学、哲学を学ぶ。イギリス民俗学会の創立に努めるかたわら、イギリスやアイルランドなどの民話集を数多く出版。語り口を生かしたリズム感のある文体で再話し、「ジャックと豆のつる(木)」「トム・ティット・ティット」「おやゆびトム」「三びきの子ぶた」などの話が今日まで親しまれている。また『ユダヤ年鑑』『ユダヤ百科事典』の編集者、ユダヤ歴史協会の会長も務める。1900年に渡米、その地で亡くなる。
- 『ジャックと豆のつる』 木下順二訳 岩波書店 1967 / 他
- ジェフリーズ,ロデリック Jeffries, Roderic(1926~ )
- イギリスの作家。ロンドン生まれ。サザンプトン大学で航海術を学び、卒業後6年間商船に乗り組み、二等航海士となる。のち弁護士として働くかたわら、多くのペンネームを用いて海や法律を題材にした小説を数多く執筆。子ども向けの小説に、誘拐された少年と父親の警部を始めとする捜査陣の活躍を描く手に汗握るミステリー『ダン警部の24時間』(1962)がある。
- 『ダン警部の24時間』 武内孝夫訳 学習研究社 1970
- シートン,アーネスト・トムソン(トンプソン) Seton, Ernest Thompson(1860~1946)
- アメリカの作家・画家。イギリスのダラム州サウスシールズに生まれる。6歳のとき父親が破産したためカナダへ移住、数年間開拓者生活を経験。1870年にトロントへ移り、のちオンタリオ美術学校、ロンドンのロイヤル・アカデミー、パリのジュリアンズ・アカデミーなどで絵を学ぶが、健康を損ねるとカナダの農場へ戻り自然と親しむ。アメリカで挿絵画家として主に動物の絵を描いて生計を立て、パリのサロンに「眠る狼」を出品して入選するかたわら、野生動物の記事や物語を雑誌や新聞に発表。「狼王ロボ」を含む処女作品集『私が知っている野生動物』(1898)以来、多くの動物物語を出版。動物をある程度擬人化しながら写実的な面も織りこみ、淡々としながらも感動的に描いて、現在まで広く読みつがれている。子どもたちに野外生活の指導も行い、アメリカのボーイスカウトの初代団長も務めた。
- <シートン動物記>1~8,別巻 藤原英司訳 集英社 1971~1974
- <シートン動物記>1~9 今泉吉晴訳 福音館書店 2003~2006
- <シートン動物記>1~15 今泉吉晴訳 童心社 2009~2011 / 他
- ジーハ,ボフミル Říha, Bohumil(1907~1987)
- チェコの作家。1926年に小学校の教師となり、1930年代から新聞や雑誌に作品を発表し始める。社会主義時代のチェコスロバキアで、子どもの健康的な日常生活をやや理想主義的ながら親しみ深く描き、町の少年が農村の生活を体験する『ホンジークの旅』(1954)は映画化もされた。他にピオニール少年団のキャンプ生活を扱った『ぼくらは船長』(1963)などがあり、大人向けの現代小説や歴史小説もある。1956年から67年まで国立児童図書出版所長を務め、『児童百科事典』(1959)を出版。1975年にチェコスロバキア国民芸術家の称号を受け、1980年には国際アンデルセン大賞を受賞。
- 『ぼくらは船長』 栗栖継訳 岩波書店 1965
- 『ボイタくんとゆかいな仲間』 樺光子訳 あかね書房 1967
- 『ホンジークの旅』 井出弘子,いぬいとみこ訳 童心社 1970
- 『おかしな結婚式』 井出弘子訳 童心社 1986
- 『わんぱくビーテック』 ちのえいいち訳 ほるぷ出版 1984
- <ビーテク シリーズ> 井出弘子訳 童心社
- 『ビーテクのひとりたび』1980
- 『ビーテクとなかまたち』1981
- 『ビーテクだいかつやく』1981
- シャープ,マージェリー Sharp, Margery(1905~1991)
- イギリスの作家。ソールズベリ生まれ。ロンドン大学を卒業。1930年頃から小説を書き始め、映画や劇になったものもある。「ロンドンっ子」を自認し、1938年に結婚後はロンドンに住む。子ども向けの作品としては、『くらやみ城の冒険』(1959)に始まるねずみたちが囚われの身の人たちを救出する冒険物語<ミス・ビアンカ シリーズ>を出版。個性的で魅力的な登場人物、大胆な発想と劇的な構成、リアルな表現力、ユーモアと風刺があり、アニメ映画化もされた。ストーリー・テリングが巧みで、何度も読み返したくなるおもしろさに満ちている。
- <ミス・ビアンカ シリーズ> ← <ミス・ビアンカのぼうけん> 渡辺茂男訳 岩波書店
- 『くらやみ城の冒険』 1987 ← 『小さい勇士のものがたり』 1967
- 『ダイヤの館の冒険』 1987 ← 『ミス・ビアンカのぼうけん』 1968
- 『ひみつの塔の冒険』 1987 ← 『古塔のミス・ビアンカ』 1972
- 『地下の湖の冒険』 1987 ← 『地底のミス・ビアンカ』 1973
- 『オリエントの冒険』 1987
- 『南極の冒険』 1988
- 『さいごの冒険』 1988
- シャミ,ラフィク Schami, Rafik(1946~ )
- シリア出身のドイツの作家。ダマスカス生まれ。ダマスカスで壁新聞の発行人兼執筆者として過ごしたのち、1971年に西ドイツ(当時)に移住。化学を学び、研究所勤務を経て1982年から専業作家となる。貧しく政情不安定だったシリアでの生活を、淡々とした筆致ながらユーモアをこめて描いた自伝的な色合いの強い作品が多い。作品に、チューリッヒ児童図書賞など多くの賞を受賞した『片手いっぱいの星』(1987)のほか、短編集『空飛ぶ木』(1991)、『蠅の乳しぼり』(1993)などがある。
- 『片手いっぱいの星』 若林ひとみ訳 岩波書店 1988
- 『蠅の乳しぼり』 酒寄進一訳 西村書店 1995
- 『夜の語り部』 松永美穂訳 西村書店 1996
- 『マルーラの村の物語』 泉千穂子訳 西村書店 1996
- 『空飛ぶ木』 池上弘子訳 西村書店 1997
- 『モモはなぜJ・Rにほれたのか』 池上純一訳 西村書店 1997
- 『夜と朝のあいだの旅』 池上弘子訳 西村書店 2002
- 『ミラード』 池上弘子訳 西村書店 2004
- 『こわい、こわい、こわい?』(絵本) 那須田淳訳 西村書店 2016 カトリーン・シェーラー絵
- ジャレル,ランダル Jarrell, Randall(1914~1965)
- アメリカの詩人・評論家。テネシー州ナッシュヴィル生まれ。ヴァンダビルト大学を卒業。第二次大戦中は空軍に従軍。ノースカロライナ州の大学で教職に就きながら詩作を続け、議会図書館の顧問も務める。評論集『詩と時代』(1953)、詩集『ワシントン動物園の女』(1960)などの著作があるほか、グリムやゲーテの翻訳も手がける。人間と動物たちとの共同生活を描く『陸にあがった人魚の話』(1965)などの、動物への愛情をこめた詩情あふれる幼年童話も執筆し、高い評価を受ける。
- 『陸にあがった人魚の話』 出口保夫訳 評論社 1981
- 『はしれ!ショウガパンうさぎ』 長田弘訳 岩波書店 1979
- 『詩のすきなコウモリの話』 長田弘訳 岩波書店 1989
- 『夜、空をとぶ』(絵本) 長田弘訳 みすず書房 2000 モーリス・センダック絵
- シュトルツ(ストールズ),メアリ Stolz, Mary(1920~2006)
- アメリカの児童文学作家。ボストン生まれ。コロンビア大学卒業。病気による自宅療養を機に小説を書き始め、1950年に処女作を出版。幼年文学のほか、ベトナム戦争や家族の死といったアメリカの世相を反映した、性格描写に優れたティーンエイジャー向けの小説を執筆し、数々の賞を受賞。いじめられっ子で母親ともうまくいっていない少女の物語『鏡のなかのねこ』(1975)は、古代エジプトにスリップ(シンクロ?)するというファンタジーの手法を用いながら、現実の問題を考えさせる興味深い作品である。
- 『鏡のなかのねこ』 中村妙子訳 偕成社 1981
- 『ねこのフレドウとポールくん』 大蔵宏之訳 あかね書房 1966
- 『ぼくのキング・エメット』 谷口由美子訳 あかね書房 1992
- 『とらにすずをつけたねずみ』 たにぐちゆみこ訳 旺文社 1975
- 『つりにいこうよ』 鴻巣友季子訳 講談社 1993
- ジョーンズ,ダイアナ(ディアナ)・ウィン Jones, Diana Wynne(1934~2011)
- イギリスの作家。ロンドン生まれ。オックスフォード大学を卒業後結婚し、三人の子の母親となる。子どもの頃から物語を作るのが好きだったが、1973年頃から執筆活動を始め、ファンタジーや児童劇の脚本を発表。ガーディアン賞を受賞した『魔女集会通り26番地』(1977)に始まる<大魔法使いクレストマンシー>シリーズは、魔力を持った者が普通に暮らしているパラレル・ワールドを描き、ちょっとひねったおもしろさがある。<ハウルの動く城>は日本でアニメ映画化された。他に幽霊(?)になってしまった少女の謎を追う『わたしが幽霊だった時』(1981)などがあり、「正統派」ファンタジーとは一味違う作品が多い。
- <大魔法使いクレストマンシー> 徳間書店
- 『魔女と暮らせば』 田中薫子訳 2001 /『魔女集会通り26番地』 掛川恭子訳 偕成社 1984
- 『トニーノの歌う魔法』 野口絵美訳 2002
- 『魔法使いはだれだ』 野口絵美訳 2001
- 『クリストファーの魔法の旅』 田中薫子訳 2001
- 『魔法がいっぱい』 田中薫子,野口絵美訳 2003
- 『魔法の館にやとわれて』 田中薫子訳 2009
- 『キャットと魔法の卵』 田中薫子訳 2009
- <空中の城> → <ハウルの動く城> 徳間書店
- 『魔法使いハウルと火の悪魔』 西村醇子訳 1997 → 2001
- 『アブダラと空飛ぶ絨毯』 西村醇子訳 1997 → 2001
- 『チャーメインと魔法の家』 市田泉訳 2013
- 『マライアおばさん』 田中薫子訳 徳間書店 2003
- 『七人の魔法使い』 野口絵美訳 徳間書店 2003
- 『時の町の伝説』 田中薫子訳 徳間書店 2004
- 『呪われた首環の物語』 野口絵美訳 徳間書店 2004
- 『花の魔法、白のドラゴン』 田中薫子訳 徳間書店 2004
- 『海駆ける騎士の伝説』 野口絵美訳 徳間書店 2006
- 『魔法!魔法!魔法!』 野口絵美訳 徳間書店 2007 → 『魔法?魔法!』徳間文庫 2015
- 『銀のらせんをたどれば』 市田泉訳 徳間書店 2010
- 『賢女ひきいる魔法の旅は』 田中薫子訳 徳間書店 2016
- 『アーヤと魔女』 田中薫子訳 徳間書店 2012
- 『ぼろイスのボス』 野口絵美訳 徳間書店 2015
- 『四人のおばあちゃん』 野口絵美訳 徳間書店 2018
- 『ビーおばさんとおでかけ女』 野口絵美訳 徳間書店 2017
- 『バビロンまでは何マイル』上・下 原島文世訳 東京創元社 2006
- 『うちの一階には鬼がいる!』 原島文世訳 東京創元社 2007
- 『ぼくとルークの一週間と一日』 大友香奈子訳 東京創元社 2008
- 『メルストーン館の不思議な窓』 原島文世訳 東京創元社 2010
- 『わたしが幽霊だった時』 浅羽莢子訳 創元推理文庫 1993
- 『九年目の魔法』 浅羽莢子訳 創元推理文庫 1994
- 『ダークホルムの闇の君』 浅羽莢子訳 創元推理文庫 2002
- 『グリフィンの年』 浅羽莢子訳 創元推理文庫 2003
- 『牢の中の貴婦人』 原島文世訳 創元推理文庫 2008
- 『魔法泥棒』 原島文世訳 創元推理文庫 2009
- <デイルマーク王国史> 創元推理文庫
- 『詩人たちの旅』 田村美佐子訳 2004
- 『聖なる島々へ』 田村美佐子訳 2004
- 『呪文の織り手』 三辺律子訳 2004
- 『時の彼方の王冠』 三辺律子訳 2005
- 『いたずらロバート』 槙朝子訳 ほるぷ出版 1992 → ブッキング 2003
- 『星空から来た犬』 原島文世訳 早川書房 2004
- 『ウィルキンズの歯と呪いの魔法』 原島文世訳 早川書房 2006
- 『バウンダーズ』 和泉裕子訳 PHP研究所 2004
- 『魔空の森ヘックスウッド』 駒沢敏器訳 小学館 2004
- 『ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド』(ノンフィクション) 原島文世,岸野あき恵訳 東洋書林 2004
- 『ファンタジーを書く―ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想』(ノンフィクション) 市田泉,田中薫子,野口絵美訳 徳間書店 2015
- スウィフト,ジョナサン Swift, Jonathan(1667~1745)
- イギリスの作家。イギリスの植民地時代のアイルランドのダブリンに生まれる。両親はイギリス人だが、叔父の家で育つ。ダブリンのトリニティ・カレッジを卒業後、イングランドに渡り引退した外交官ウィリアム・テンプルの秘書を務める。1699年のテンプルの死後ダブリンに帰って僧職につき、1714年には聖パトリック教会の主席司祭となる。17世紀末頃から学問・宗教・政治・社会を風刺した文章を書き始め、しばしば匿名で発表して物議をかもす。1710~11年には政党トーリー党の機関誌の編集にも携わる。政界や人間そのものを痛烈に風刺した代表作『ガリヴァー旅行記』(1726)は、豊かな空想力による世界のおもしろさによって、子どもにまで広く受け入れられる。他の著作に、宗派抗争を揶揄した『桶物語』(1704)、通貨政策を批判した『ドレイピア書簡』(1724)などがある。
- 『ガリヴァー旅行記』1~2 中野好夫訳 岩波少年文庫 1951 / 坂井晴彦訳 福音館書店 1988 / 他
- スタインベック,ジョン Steinbeck, John(1902~1968)
- アメリカの作家。カリフォルニア州サリーナス生まれ。スタンフォード大学に入るが中退し、ニューヨークで新聞記者になる。カリフォルニアに戻って1929年処女作を発表。翌年最初の結婚をし、この頃から身近な地域を題材にした作品の執筆に専念する。その一つである『赤い小馬』(1937・1938)は、農場の生活の中での少年の、苦しみをも含んだ成長を描いている。主な作品に農民の悲惨な運命を描きピューリッツァー賞を受賞した大作『怒りのぶどう』(1939)、貧しい真珠取りの民話風の物語『真珠』(1947)、映画化もされた自伝的な作品『エデンの東』(1952)などがある。1962年ノーベル文学賞を受賞。
- 『赤い小馬』 西川正身訳 偕成社 1966 ← 新潮文庫 1955
- スチュアート,メアリー Stewart, Mary(1916~2014)
- イギリスの作家。ダラム州サンダーランド生まれ。ダラム大学を卒業。初めロマンティックなサスペンス小説などを書いていたが、1960年代末頃からしっかりした現実描写を土台にしたファンタジー作品を執筆。大人向けにはアーサー王伝説をもとにした<マーリン四部作>、子ども向けには、マザーグースを用いて魔女の学校をめぐるスリルあふれる騒動を描いた『小さな魔法のほうき』(1971)、中世にタイムスリップして狼になる呪いを受けた男を助ける子どもたちを描いた『狼森ののろい』(1980)などの作品がある。
- 『小さな魔法のほうき』 掛川恭子訳 あかね書房 1975
- 『狼森ののろい』 深町真理子訳 佑学社 1983
- スティーブンスン(スティーヴンソン),ロバート・ルイス Stevenson, Robert Louis(1850~1894)
- イギリスの作家。エジンバラ生まれ。エジンバラ大学に学び、工学から法学に転じ弁護士の資格を取るが、肺結核の持病から各地に転地・旅行をくり返しながら小説・随筆・旅行記などを著す。1880年多くの困難を乗り越えてアメリカ人の年上の女性と結婚。その連れ子の少年の描いた地図から発想したと言われる冒険物語『宝島』(1883)は、魅力的な海賊ジョン・シルバーを生み出し、大人から子どもまでの多くの人々に愛読され今日に至っている。空想好きでロマンチックな性格が生き生きとした文章となって表れている。サモア島に渡り、その地で亡くなる。他の作品に、様々な事件に巻き込まれる青年の冒険を描いた『さらわれたデービッド』(1886)、薬による二重人格者の悲劇『ジーキル博士とハイド氏』(1886)などがある。
- 『宝島』 阿部知二訳 岩波少年文庫 1967 / 海保眞夫訳 岩波少年文庫 2000 / 坂井晴彦訳 福音館書店 1976 / 他
- 『さらわれたデービッド』 坂井晴彦訳 福音館書店 1972
- 『子どもの詩の園』 よしだみどり訳 光琳社出版 1998 → 白石書店 2000
- 『続・子どもの詩の園』 よしだみどり訳 白石書店 2000
/『ある子どもの詩の庭で』 間崎ルリ子訳 瑞雲舎 2010
/『子どもの詩の園』 ないとうりえこ訳 KADOKAWA 2014
- 『びんの悪魔』 よしだみどり訳 福音館書店 2010
- ストー(ストーア/ストール),キャサリン Storr, Catherine(1913~2001)
- イギリスの作家。ロンドン生まれ。ニューハム・カレッジ、ウェスト・ロンドン医学校を卒業して精神科医を務めるかたわら、三人の子の母親となる。1950年代から創作を始め、ファンタジー・リアリズムの作品とも子どもの心理を扱うものが多い。心理ファンタジーと言われる『マリアンヌの夢』(1958)は、夢と現実が交錯する中で病気の子どもの屈折した心をたどり、困難や恐怖を克服する様子を描いていて興味深い。幼年向けの連作『ポリーとはらぺこオオカミ』(1955)、男の子と遊びたい元気な女の子の冒険を描く『ルーシーのぼうけん』(1961)『ルーシーの家出』(1962)などの楽しい作品もある。
- 『マリアンヌの夢』 猪熊葉子訳 冨山房 1977 → 岩波少年文庫 2001
- 『海の休暇』 新谷行訳 学習研究社 1971
- 『ルーシーのぼうけん』 山本まつよ訳 子ども文庫の会 1967
- 『ルーシーの家出』 山本まつよ訳 子ども文庫の会 1967
- 『ポリーとはらぺこオオカミ』 掛川恭子訳 岩波書店 1979 /『かしこいポリーとまぬけなおおかみ』 佐藤凉子訳 金の星社 1979
- 『はらぺこオオカミがんばる』 掛川恭子訳 岩波書店 1979
- 『まだまだはらぺこオオカミ』 掛川恭子訳 岩波書店 1994
- 『少年と白鳥』 定松正訳 さ・え・ら書房 1988
- ストックトン,フランク・リチャード Stockton, Frank Richard(1834~1902)
- アメリカの作家。フィラデルフィア生まれ。高校卒業後彫刻を学んだが、のち子どものための雑誌「セント・ニコラス」の編集に関わる。恐ろしげなグリフィンの意外な姿を描く『怪じゅうが町へやってきた』(1881)など豊かな空想力によるユーモアと風刺に満ちた作品を発表し、アメリカ初期の児童文学の発展に貢献。大人向けのユーモア作家としても活動し、リドル・ストーリー「女か虎か」などの作品で知られる。
- 『怪じゅうが町へやってきた』 久保田輝男訳 偕成社 1967
- 『みつばちじいさんのたび』 光吉夏弥訳 学習研究社 1969 → 童話館出版 1998
- 『木の精のふしぎなキス』 平賀悦子訳 文研出版 1975
- ストレトフィールド(ストリートフィールド/ストレットフィールド),ノエル Streatfeild, Noel(1897~1986)
- イギリスの作家。サセックス州生まれ。王立演劇学院を卒業後、女優として劇団に加わり各地を巡業するが、1930年代から文筆活動に入る。姉妹になったそれぞれに個性的な三人の少女が自分たちの道を選んでいく職業小説『バレエ・シューズ』(1936)は、わかりやすい文章とドラマティックな展開でどんどん読ませる作品で、テレビ映画にもなっている。『サーカスきたる』(1938)ではカーネギー賞を受賞。大人向けの小説や劇やバレエの本の執筆のほか、雑誌の編集なども手がける。
- 『サーカスきたる』 中村妙子訳 すぐ書房 1986 /「サーカスがやってくる」 村岡花子訳 講談社(『少年少女新世界文学全集 6』所収) 1964
- 『バレー・シューズ』 村岡花子訳 講談社 1957 →『バレエシューズ』 1967
/『バレエ・シューズ』 中村妙子訳 すぐ書房 1979 → 教文館 2018 / 久米穣訳 偕成社 1980
- 『白いスケートぐつ』 榎林哲訳 講談社 1967
- 『ファミリー・シューズ』 中村妙子訳 すぐ書房 1983 →『家族っていいな』 1986
- 『ムービー・シューズ』 中村妙子訳 すぐ書房 1984 →『映画にでた女の子』 1986
- 『大きくなったら』 中村妙子訳 すぐ書房 1988
- 『ビクトリアの青春』 野々瀬協子,新田由香子訳 すぐ書房 2003
- 『愛のテニスシューズ』 大野芳枝訳 ポプラ社文庫 1980
- 『アンナのバレエシューズ』 大野芳枝訳 偕成社 1982
- 『ふたりのエアリエル』 中村妙子訳 教文館 2014
- 『ふたりのスケーター』 中村妙子訳 教文館 2018
- スナイダー,ジルファ・キートリー Snyder, Zilpha Keatley(1948~2014)
- アメリカの児童文学作家。カリフォルニア州生まれ。大学卒業後、アメリカ各地で小学校教師を長年務める。のち児童文学の創作を始め、多くの賞を受賞。不思議な出来事や雰囲気のある作品を得意とし、オカルト趣味をからめたミステリー仕立ての『首のないキューピッド』(1971)、古い屋敷に関わった少女の心の動きを追い、家族について考えさせられる『ビロードのへやの秘密』(1965)などの作品がある。
- 『首のないキューピッド』 関口功訳 冨山房 1975
- 『魔女の猫ウォーム』 関口功訳 冨山房 1977
- 『ビロードのへやの秘密』 小比賀優子訳 福武書店 1989
- スピア,エリザベス・ジョージ Speare, Elizabeth George(1908~1994)
- アメリカの児童文学作家。マサチューセッツ州メルローズ生まれ。ボストン大学の大学院を修了。高校教師になり、のち結婚して子育てをしながら雑誌に寄稿を始め、1957年に処女作を発表。17世紀のアメリカでの魔女裁判を扱った『からすが池の魔女』(1958)、帝政ローマ時代の青年の葛藤を描いた『青銅の弓』(1961)はともにニューベリー賞を受賞。質の高い歴史物語を得意とし、歴史の中に現代に通じるきめ細かな人間のドラマを織りこんでいて読みごたえがある。『ビーバーのしるし』(1983)でスコット・オデール歴史小説賞、1989年にはローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞。
- 『からすが池の魔女』 掛川恭子訳 岩波書店 1969
- 『青銅の弓』 渡辺茂男訳 岩波書店 1974
- 『ビーバーのしるし』 犬飼千澄訳 ぬぷん児童図書出版 1986 /『ビーバー族のしるし』 こだまともこ訳 あすなろ書房 2009
- スピリ(シュピーリ/シュピリ),ヨハンナ Spyri, Johanna(1827~1901)
- スイスの作家。チューリヒ近郊のヒルツェルに生まれる。チューリヒの学校で学んだのち故郷に戻るが、結婚後再びチューリヒで暮らす。家庭生活のかたわら文学者や音楽家と交流を持つ。1870年に起こった普仏戦争の負傷者援助のため小説を書き始め、アルプスの美しい自然を背景に敬虔なキリスト教精神に満ちた数々の物語を執筆。アルプスの山で過ごす少女が周囲の人々を幸せにしていく『ハイジ』(1880~1881)は、都会と自然の対比が単純すぎる、社会的な問題を無視しているなどの批判もあるが、健全で生き生きとした美しい物語は感動的で、映画化・アニメ化もされ広く親しまれている。
- <スピリ少年少女文学全集> 白水社
- 『アルプスの少女』 国松孝二,城山良彦,鈴木武樹訳 1961 /『ハイジ』 矢川澄子訳 福音館書店 1974 / 上・下 竹山道雄訳 岩波少年文庫 1952・1953 / 上・下 上田真而子訳 岩波少年文庫 2003
- 『ぼくたちの仲間』 大畑末吉訳 1960
- 『ふしぎな城』 山下肇,子安美知子訳 1960 /『ヴィルデンシュタイン城』 谷村まち子訳 中央出版社 1959
- 『山の上の笛』 岡村弘,中村妙子訳 1961
- 『小さな友情』 加藤一郎,城山良彦,池田猛雄訳 1961
- 『山の天使ティス』 石中象治,堀内明,早崎守敏,西田越郎訳 1961
- 『ちいさなバイオリンひき』 植田敏郎,小池辰雄,秋山六郎兵衛訳 1961
- 『母の歌』 川崎芳隆,秋山英夫,鈴木武樹訳 1961
- 『学校に行くコルネリ』 辻瑆,小川超,関楠生訳 1961
- 『星への祈り』 生野幸吉,阿部賀隆,神品芳夫,藤本淳雄訳 1961
- 『白い小犬』 中井正文,山口四郎,守永敏夫訳 1961
- 『少女ドリ』 前田敬作,船山幸哉訳 1961
- 『コルネリの幸福』 野上弥生子訳 愛宕書房 1946 → 角川文庫 1959 /『コルネリの幸せ』 塩谷太郎著 集英社 1977
- スラビー(スラビイ),ズデニェク・カ Slabý, Zdeněk Karel (1930~ )
- チェコの児童文学作家。プラハ生まれ。カレル大学チェコ文学科を卒業。1958年に児童文学の評論誌「ズラティ・マイ」の編集に参加し、のち編集長となる。作家・評論家として国際的な児童文学のシリーズの出版企画を提唱するなど、日本を始めとした国際的な交流活動を行う。テンポの良い文章と日本の画家の絵が組み合わさった幼年童話『たいようのぼうや』(1969)、連作短編集『黒い塔のひみつ』などの作品がある。
- 『たいようのぼうや』 内田莉莎子訳 学習研究社 1969
- 『黒い塔のひみつ』 金山美莎子訳 大日本図書 1971
- セーリン,ガンヒルド Sehlin, Gunhild(1911~1996)
- スウェーデンの児童文学作家。小学校教師として教えるかたわら、子どもの本の執筆を始める。クリスマスの物語『マリヤと小さなろば』、美しい自然の中の小さなトロルの冒険を描いた楽しい物語『きょうだいトロルのぼうけん』(1961)などの作品を発表。1966年「スウェーデン救援団」の一員となってヨルダンのアンマンに渡り、以後知的障害児のホームを作る活動などを行う。
- 『きょうだいトロルのぼうけん』 小野寺百合子訳 学習研究社 1971
- セルデン,ジョージ Selden, George(1929~1989)
- アメリカの児童文学作家。本名ジョージ・セルデン・トムソン。コネチカット州ハートフォード生まれ。エール大学を卒業後、1年間ローマに留学。のちニューヨークに出て作家として活動。コネチカットのコオロギがニューヨークに来る『都会にきた天才コオロギ』(1960)、ニューヨークのネズミとネコがコネチカットの田舎へ行く『タッカーのいなか』(1969)の連作は、自分の経験を生かしながら、個性的な動物たちと愚かな人間とをユーモアたっぷりに描いた楽しい動物ファンタジーである。
- 『都会にきた天才コオロギ』 吉田新一訳 学習研究社 1974 →『天才コオロギニューヨークへ』 あすなろ書房 2004
- 『タッカーのいなか』 吉田新一訳 評論社 1984
- 『すずめのくつした』 光吉郁子訳 大日本図書 1978
- セレディ,ケイト Seredy, Kate(1899~1975)
- アメリカの児童文学作家・画家。ハンガリーのブダペスト生まれ。美術学校を卒業後挿絵画家として活動し、1922年にアメリカに渡る。ハンガリーの農場での子ども時代の生活を書くように勧められ、素朴な味わいのある良作『すてきなおじさん』(1935)とその続編『歌う木』(1939)を執筆する。ハンガリーの伝説を扱った、叙事詩風の力強い物語『白いシカ』(1937)ではニューベリー賞を受賞。作品の挿絵も自ら手がけている。
- 『すてきなおじさん』 清水乙女訳 あかね書房 1959
- 『歌う木』 松本恵子訳 福音館書店 1971 → 偕成社文庫 1980
- 『白いシカ』 瀬田貞二訳 岩波書店 1968
- ソボル,ドナルド Sobol, Donald J.(1924~2012)
- アメリカの作家。ニューヨーク生まれ。オバーリン・カレッジを卒業。ニューヨークで新聞記者として活動したのち、フリーのライターとなる。日常のちょっとした事件を「百科事典」というあだ名の少年が小気味良く解決する物語の連作<少年たんていブラウン>シリーズ(1963~77)が人気を博し、駅の売店でも売られるベストセラーとなる。個性豊かな子どもたちの姿を生き生きと描いて、テンポが良く次々に読める。
- <少年たんていブラウン>1~10 花輪莞爾訳 偕成社 1973~1978 → 1~5 偕成社文庫 1977(1・2・3)・1988(4・5)
- 『ぜんぶ本当の話』 小沢瑞穂訳 晶文社 1984
- ソーヤー,ルース Sawyer, Ruth(1880~1970)
- アメリカの児童文学作家。ボストン生まれ。コロンビア大学を卒業。キューバで幼稚園作りに携わり、ニューヨークの公立図書館で小説作法の講師を務めるほか、「ニューヨーク・サン」紙の特派員として世界各国を訪ねて各地の民話・伝説を収集。学校や図書館でストーリー・テリングの普及に努め、その経験を『ストーリーテラーへの道』(1942)として出版。記者の仕事のかたわら作品を執筆し、両親が旅行中の少女の生活を生き生きと描いた『ルシンダの日記帳(ローラー=スケート)』(1936)で、ニューベリー賞を受賞。他にアイルランドの妖精とアメリカの現実の生活が結びついた愉快な物語『空をとんだおんぼろ校舎』(1956)などがある。1965年にはローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞。
- 『空をとんだおんぼろ校舎』 山田なほみ訳 学習研究社 1971
- 『ルシンダの日記帳』 亀山龍樹訳 講談社 1964 →『ローラー=スケート』講談社青い鳥文庫 1985
- 『ころりんケーキほーい!』(絵本) やまだじゅんいち訳 ポプラ社 1967 ロバート・マックロスキー絵
- 『とってもふしぎなクリスマス』(絵本) 掛川恭子訳 ほるぷ出版 1994 バーバラ・クーニー絵
- 『ジョニーのかたやきパン』(絵本) こみやゆう訳 岩波書店 2009 ロバート・マックロスキー絵
- 『ストーリーテラーへの道』(評論) 池田綾子等訳 日本図書館協会 1973
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